人生を1日だけ真逆にして麻雀を打ったら不調から抜け出せるのか

最近、麻雀の調子がとんでもなく悪い。

配牌はいつもバラバラ。ツモは噛み合わず、なかなかテンパイしない。

先制リーチをかければ追っかけられ、当たり牌をしっかり掴まされる。

三面張テンパイは必ずカンチャンに引き負ける。

長く麻雀をやっていれば「どうして自分だけこんな理不尽を…」という時間帯は必ず訪れるけど、何度経験しても不愉快だ。全然慣れない。

僕の好きな麻雀漫画に「根こそぎフランケン」という作品がある。

細かいあらすじは省くが、主人公・竹井と相棒のフランケンがコンビで敵に挑む場面で、運も展開も絶望的。誰が見ても負け濃厚という状況の中、竹井が言う。

「なんでもいいから、今までと違うことをやれ。これまで通りに打っても必ず負ける。変化を起こさないと勝機はない」

これを実行したフランケンが敵の役満をかいくぐり、最後に逆転勝利を収めるのだ。

麻雀漫画史上でも指折りに好きなシーンである。

そして、今の僕も、広い意味では当時の竹井・フランケンと大差ない。「変化を起こさないと勝てない」。その理屈は正しい。

ならば、僕も人生を真逆にしてみるべきなのではないか?

普段絶対やらない行動を片っ端からやれば、不調を断ち切れるのでは?

そう思って、実際にやってみることにした。

目次

①起床

時間はAM7:00。まず、この時間に起きること自体が普段は絶対にない。

早起きと運動が人類ワースト5%に入るくらい苦手な僕が取るべき真逆の行動といえば——ランニングしかない。

去年意気込んで買ったくせに、1ヶ月で部屋着に降格したランニングウェアに袖を通し、軽くストレッチをする。

外は寒い。11月後半の朝の空気なんて、健康な人でも外出をためらう温度だ。

正直、走りたくない。でも不調脱出のためには、そうも言ってられない。

久しぶりの運動なので2kmちょっとでダウン。

だが、走り終わってみると妙に頭がスッキリしている。これは流れが変わる予兆なのでは?

②朝食

ランニングとシャワーを終えた僕は、その足で高級ホテルへ向かった。

普段なら絶対に選ばない“セレブ系朝食”。こういう「生活の文脈の外側」にある選択こそ、流れを変える鍵になる。中途半端が一番良くない。

今回はヒルトン東京のモーニングビュッフェ(¥4,200)。

朝から財布が泣いているが、これは浪費ではなく“自己投資”ということにする。

エントランスからして普通の世界と空気が違う。

少なくとも雀荘のメンバーが「気軽に」訪れる場所ではない。

いつもは朝食をほとんど食べない僕だが、今日は逆張りでしっかり食べる。普段の和食もやめて、洋食プレートへ。

ここのオムレツ、どうやら有名らしい。

卵の味が濃くて、朝からテンションが上がる。

非日常というだけで食事の満足度が倍増するのに、料理・空間・接客すべてがレベル高い。

「流れを変える目的」抜きでもオススメしたい。

③移動

運動し、いい朝食も取り、いよいよ出陣である。

ただひとつ問題がある。

僕は今、新宿にいて、目的地は上野。

山手線に乗れば1本で着いてしまう。

「真逆のことをしろ」と言われても、別に北に向かう必要はない。

じゃあどうするか?

答えはシンプル。新幹線を使う。

新宿 →(山手線)→ 品川

品川 →(新幹線)→ 東京

東京 →(山手線)→ 上野

普通なら1本のところを、2回乗り換えてさらに新幹線を挟むという回りくどさ。

これ以上の逆張りルートはない。

せっかくなので駅弁でも買おうかと思ったが、品川→東京の6分で完食できる気がしなかったので断念。

麻雀の神様もフードロスはお気に召すまい。

いざ実戦へ

やるべきことは全部やった。

早起き・ランニング・高級ホテルの朝食・不必要な新幹線移動・・・はさておき、

正直、この時点で既に1日の満足度が高く、「もう麻雀の勝ち負けはどっちでもいいかな」という気持ちすら湧いていた。

しかし麻雀を打たなければ記事にならない。

全国の不調に苦しむ麻雀打ちのためにも、普段は買わないスタバのカフェラテを片手に雀荘に行く。

“勝負事は無欲な者が強い”という話もあるが、今日はどうなるだろうか。

検証結果

4戦して、3着・4着・1着・3着。

劇的に復調したとは言い難い。ただ、ひとつ印象的な局があった。

東2局・西家・ドラ、点棒はほぼ横並び。配牌は——

悪すぎる。

手なりリーチはとても無理なので、七対子・国士・ピンズ混一色あたりを見てから切っていく。

すると、親が次巡にを暗槓。国士の夢が即終了。

を引き、三元牌が全て1枚切れだったので、守備重視で生牌のを先に切ると親がポン。

混一かトイトイかな……と思っていたら、次のツモは

当然ツモ切り。

その次も

さらに次も

“調子が悪い時あるある”すぎて笑えてくる。

まともな手にならなさそうなので、安全牌を切りながら形だけ残す進行にすると、なんと12巡目には…

ここまで成長するなら、最初の4枚被りが恨めしい。

どちらの待ちもそこそこ残ってるし、良形テンパイしたらリーチもありだなと思っていたが、そこで1枚切れのをツモる。

ふと気づく。

が1枚も見えていない・・・」

親の捨て牌は妙に中張牌がバラけていて、ドラ受けのターツまで落としている。

よく見ると、かなり手役が匂う。

……小四喜?

4枚壁を頼りにを落としてオリ気味に構えると、親の1人テンパイで流局。

開かれた手は シャンポンで小四喜テンパイ。

を切っていたら飛んでいた。

親のおじいちゃんは照れながら

「これ()カンしなきゃよかったな。は後から2枚来たんだよ」

と笑っていた。

こちらとしては

残さなくてよかった…」

と胸を撫で下ろすばかり。

仮に面前テンパイしていたらリーチを打って、で放銃していた可能性が高い。

運が悪い中にも、変化のおかげで落とし穴を回避できたのかもしれない。

そんなことを思いながら、山手線の内回りに揺られて帰路についた。

たまには回り道もいいが、やっぱり麻雀も移動も速いに越したことはない。

この記事を書いた人

たわし

たわし

1994年神奈川県生まれ。
麻雀にハマりすぎて大学を2回中退するくらいには麻雀が好き。
履歴書を書くのが嫌でもう7年以上同じ雀荘で働いている。

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